辻村深月の本は『凍りのくじら』から読め! - 何もない一日じゃないはず

『子どもたちは夜と遊ぶ』 木村浅葱(きむらあさぎ)と狐塚孝太(こづかこうた)という二人の学生は、ある論文コンクールの最優秀賞を狙っていた。 誰もが二人のどちらかが受賞するだろうと思っていた中、最優秀賞に選ばれたのは「i(アイ)」と名乗る謎の人物だった。 そんな事をきっかけに始まるiとθの「殺人ゲーム」を描いた、ダークな世界観でのサスペンス溢れる物語である。「ブラック辻村」とでも言おうか。 ミステリー要素が強く、前半を読めば「i」の正体が気になって仕方がなくなる事だろう。上下巻一気読みは避けられないのだ。そして相変わらずの「怒涛の下巻」である。結末を知って「ナンテコッタイ!」と心の中で叫んでしまった。 いつもの事だが、辻村深月さんの作品は登場人物の心情をしつこいくらいに描いている。そして、各人物の心のやりとりが絶妙だ。これだけでグイグイ読まされてしまうわけだ。 辻村 深月 講談社 2008-05-15 6. 『ぼくのメジャースプーン』 この作品を読む前に、 上に紹介した『子どもたちは夜と遊ぶ』を読んでおく事を推奨する。 これは、ある特殊能力を持った小学四年生の「ぼく」を主人公とした物語。 その能力とは「条件ゲーム提示能力」と呼ばれており、『相手に〈A〉をしなければならない。そうしなければ〈B〉になってしまう』と命令すると、それを受けた人は〈B〉を恐れ、〈A〉の行動を強制させる事ができるというものだ。 単純なように見えて能力の「条件」がとても細かく練られていおり、それが物語をさらに面白くするポイントとなる。 さて今作は、この能力を持った「ぼく」が、学校のうさぎを惨殺されショックを受けた「ふみちゃん」のために、その犯人に復讐するという物語である。 復讐というとちょっと怖い話のように思えるが、これは愛の物語なのだ。 あのエピローグを、涙なしでは見られまい。 辻村 深月 講談社 2009-04-15 7. 『名前探しの放課後』 この作品を読む前に、上でオススメさせていただいた『凍りのくじら』『子どもたちは夜と遊ぶ』『ぼくのメジャースプーン』を読んでおく事を強くオススメする。 というか絶対にそうした方が良い。なぜかは、読めばわかる。 三ヶ月前にタイムスリップした高校生が、三ヶ月後に起こる同級生の自殺を止めようと奮闘する物語である。 面白いのは 「誰かが自殺するという記憶があるのに、''誰が''自殺するかがわからない」 という設定だ。果たして一体「誰が」自殺をするのか。 ミステリー色が強いが、これは間違いなく「青春小説」としての名作である。 辻村さんの作品は序盤ゆっくりの進むものが多いが、この作品は序盤からグイッと物語に引き込ませてくれる展開を迎える。そこからもう目が離せないので、読む前にトイレを済ませておこう。 辻村 深月 講談社 2010-09-15 おわりに 以上が辻村深月さんの「まず読むべき作品」と「読む順番」である。 今回ご紹介した作品を読んでいただいたあとは、ぜひ『 光の待つ場所 』という作品も読んでみよう。これまで辻村作品をちゃんと読んできた方には、たまらない短編集となっているのだ。 辻村 深月 講談社 2013-09-13 しつこいようで申し訳ないが、読む順番によって辻村ワールドの楽しみ方が大きく変わってくるので、ぜひ参考にしていただきたい。

  1. 辻村深月さんの最初に読むべきおすすめ作品と読む順番を語っていくよ | anpolog

辻村深月さんの最初に読むべきおすすめ作品と読む順番を語っていくよ | Anpolog

ある人物が初登場する核の作品を抜かして他作品を読み進めると、肝心なところがわかっていない状態になってしまうことがあるのです。 本来であれば連作的に楽しめたはずの数作品を、個々に楽しんで終わりという残念な味わい方になってしまいます。 確かに一作一作は、その人物の他作品での活躍を知らなくても楽しめるように丁寧に作られてはいるのです。 ですがやはり、 順番に読み進め、「全貌を知ることができた瞬間の衝撃」を味わってこその辻村深月作品 です。 完全に味わいつくそうと思ったら、順番の下調べが必要。 これは辻村深月作品の長所でもあり、短所でもあります。 好きな人は好きだけれど、めんどくさい人はめんどくさい読み方になるからです。まあ、そういうのを気にしない人には全く関係ない話なんですけどね。 で、その順番ですが、講談社の文庫に付いていた帯にはこうあります。 「この順番で読めば、辻村ワールドがより楽しめる!」 それが下記の順番なのです。 『凍りのくじら』 『スロウハイツの神様』(←最高におすすめ) 『冷たい校舎の時は止まる』(若干のホラー属性) 『子どもたちは夜と遊ぶ』 『ぼくのメジャースプーン』(←おすすめ) 『名前探しの放課後』 『ロードムービー』 『光待つ場所へ』 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ』(未読。すみません!) この順番で読めば間違いなく楽しめるでしょう。ただし、忙しくて時間がない人のためにあえてポイントを絞るなら、 『ぼくのメジャースプーン』 『名前探しの放課後』(←これは最後。最初に読んじゃだめ!) とりあえず、この順番だけは守りましょう。 ちなみに私は間違って、『子どもたちは夜と遊ぶ』と『ぼくのメジャースプーン』の順番を逆に読んでしまいました。痛恨のミスです。 このときの後悔が、本記事に反映しています! そして、自分には辻村深月は合わないなあと感じ始めたら、すかさず、『スロウハイツの神様』を読みましょう。 『スロウハイツの神様』を読まずに、辻村深月作品を諦めてしまってはもったいない です。それほどの傑作です。 もう本当に時間がないなら、 『スロウハイツの神様』だけでも読んでくれ。 ちなみにデビュー作は『冷たい校舎の時は止まる』なのですが、ちょっとホラー要素が入っています。 これを最初に読んで「辻村深月、怖い!」となって読まなくなってしまうというのが一番もったいないです。 辻村 深月 講談社 2010年01月 『かがみの孤城』もかなりいい 『スロウハイツの神様』は本当におすすめです、と言ってきましたが、それに 匹敵する作品 が登場してしまいました・・・!

イヤミス作家として 辻村深月はイヤミス作家として評価を得ています。 イヤミスとは読んだ後に嫌な気分になるミステリーのこと 。幼少期からホラー小説やミステリー小説が大好きだった彼女ならではの作風は、ミステリーファンから絶大な支持を得ています。 彼女の作品はイヤミスとされていますが、読み終わった後に不思議と心が軽くなる作品もあり、 他の作品もぜひ読みたくるという不思議な魅力 があります。以下の記事で定番のイヤミス小説を紹介しているので、辻村深月と読み比べてみてはいかがでしょうか。 今回は、辻村深月作品の選び方とおすすめ作品をご紹介しました。リンクしている作品もあるので、気になる作品からどんどん世界を繋げてみましょう。辻村深月ワールドにどっぷり浸かって楽しんでくださいね。 ランキングはAmazon・楽天・Yahoo! ショッピングなどECサイトの売れ筋ランキング(2021年06月20日)やレビューをもとに作成しております。

June 1, 2024, 5:40 pm