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アベルは酷い」 「俺はどこまで鬼畜な人間なんだよ……」 旅は道連れ世は情け。 一人旅よりも二人旅の方が楽し……飽きはこない。 初日夜の宿泊は、王都の衛星都市のポジションにあるデオファムの街であった。 デオファムの街は、王都の南にある最初の大きな街であり、宿場町的な役割を果たしている。 この街から、南部最大の街アクレへと続く『第三街道』と、ルンの街へと続く『南街道』に分かれる。 「この宿は素晴らしいですね! 大浴場がありますよ!」 「リョウは風呂好きだもんな。そう思って、宿はここにしたんだ。デオファムでも有名な宿で色々しっかりしているから、安全だぞ。夜も安心して寝られる」 「アベル……素晴らしいです! 今日の晩御飯は僕が奢ります。好きなものを食べてください」 「うん、この宿、晩御飯も料金に含まれてるからな。先払いでお金払った後だからな」 「ばれてましたか……」 アベルに恩を着せる作戦は失敗した。 二日目。 デオファムを出て、二人はルンへの道、『南街道』を歩いていた。 「アベル、気付いてますか?」 「ああ。何か不快な視線を感じるな。宿を出てから、ずっとだよな」 「さすがB級冒険者です。視線を感じる、とかちょっと言ってみたいセリフです」 アベルのセリフに、少し憧れた涼である。 「リョウは視線じゃないのか?」 「ええ、僕は魔法で……」 「そっちの方が確実じゃねえか!」 なぜか怒られた涼であった。 「だが……なぜ俺たちを見ている? 金目のものが欲しいなら、確実に商人を狙うべきだろ? 旅 は 道連れ 世 は 情報は. 南街道とか、王国を代表する街道の一つだ。狙う商隊なんていくらでもいる。まあ逆に、こんな人通りの多い街道で盗賊行為をしようってのも、自殺行為な気もするがな」 「そうですよねぇ。冒険者二人を狙う理由……しかも一人は、見るからに強そうな剣士ですよ。もしや、見ている者たちは盲目の追跡者……」 「そんなわけないわな」 「しかし、それ以外に理由が説明できないのですよ。不可能なものを全て除外したら、後に残ったものがいかに不合理に見えても、それが真実に違いないのです! 名探偵はそう言ったのです!」 「うん、メイタンテイが誰かは知らないが、それを言った人は正しいのだろう。だが、それを使っているリョウは正しくないと思うぞ。まず、不可能なものを全部除外とかしてないだろ!」 アベルの断言に、なんてことだ、という劇画調の表情になる涼。 「まさかアベルに指摘されるなんて……」 「リョウ、ものすげぇ失礼な事を言ってやがるぞ」 思わず呟いた涼は、アベルに軽く睨まれるのであった。 「まあ、冗談はさておき。俺ら……誰かと間違われているとか?」 「あり得ますね。どこかの王族のお忍び活動と間違われて、狙われている可能性はありますよね」 「お、おう」 アベルは現国王の次男である。 だが、涼はそのことを知らない。 だが……。 「アベル、隠していることがありますね」 「え?」 涼の、あえて静かに言った言葉にアベルはドキリとした。 「さっき、王族と言った時、わずかにアベルは反応しました」 「そ、そうか?」 アベルの背を冷や汗が流れ落ちる。 「アベル……まさかとは思いますが、王族の部屋に忍び込んで宝物とか奪ってきたんじゃないでしょうね?

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本っ当に申し訳ない! !」 空席の一人であるパリストンが遅れて姿を現す。十二支んであるジンの空白期間は終わり、子と亥は対峙する。 「おや、ジンさんじゃないですか!

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とんでもないことを言うリディアさんを受け流していたらもう一つお願いがると言いはじめた。 今度は何? 「バルムスの件が落ち着き次第お父様に紹介したいのです。」 と言った。なんで?困惑する僕にリディアさんは 「先のお話でセレス様が封印されている事を教えていただきました。お救いするお手伝いができればと思ったのです。幸い私は公爵家の人間です。情報は得やすいでしょう。サポートもしやすいと思います。そのためにはお話そのまま話すわけではありませんが凄腕の冒険者ということと・・・まだ思いつきませんがお父様を説得し支援体制を確立したいと思っています。いかがでしょうか。」 なるほどね。 それは願ってもないかな。 公爵家ならいろんな情報を得られるかもしれない。 「それは助かるよ。姫様達は信用できそうだし。できればこっちからお願いしたいくらい。」 僕がそういうとリディアさんはムスっとした。 ほっぺがパンパンである。 僕なんかした?」 「姫様はやめてください。リディアとお呼び下さい。」 と言い始めた。 でも公爵家でしょ?僕平民だし。 「いや悪いよ。姫さ「リディア」」 「姫「リディア!」 「ひ「リディア! !」 「・・・・リディアさん・・「・・・リディア」」 「・・・・リディア「はい!」 なんて押しが強い!・・・仕方がないか・・ 「姫様が名前呼びなら当然私も呼び捨てだな。呼んでみてくれ。」 とグレイスさんが言い始めた。 えー・・・ 「グレイスさん「グレイス」」 「いやでも年上「グレイス」」 「だって・「水臭いぞ。グレイス」」 「わかったよ・・グレイス」 「うむ!」 腕組みしてご満悦である。 胸が強調されて・・・ 「どこをみてるのですか?やっぱり身体「なんでもありませんどこもみてませんご めんなさい」 リディアめ・・油断も隙もない・・・ってこれブーメランか。 「僕のことも呼び捨てにする?」 と聞いてみるとリディアは僕をリョウマさんのまま、グレイスは僕を呼び捨てにすることにしたようです。 どっちでもいいけどね。 「なんにしてもこれからよろしくお願いいたします。公爵家のリディア・リヒャルト・メイビスとしてもだのリディアとしても。」 「そうだな。騎士の私もそうでない私もよろしくお願いします。」 ・・・どういう意味?まあいいや。 「そうだね。こちらこそよろしくね。とりあえず夜も更けたし馬車の中で休んでね。僕は警戒がてら外で寝「別に馬車で一緒でいいですよ。服も脱ぎま「外で寝ます!

見せた方が早いかしらね」 カミーラは用意していた生態調査をしているハンター達のリストをハルケンブルグに渡す。 「――カイトにゴン。えっ、この子はまだ子供じゃないか! ?」 「子供だけどハンターよ。そして、ハンター達は念と呼ばれるオーラを使うの。あなたに見せた力がそれよ」 「念……、それが力の正体。カミーラ姉さんはどうしてそんな秘密を僕なんかに教えたんだ?」 ハルケンブルグはカミーラの変化に内心動揺していた。感情的で自己主張型の彼女が強制ではなく協調を求めているのだ。 念についてカミーラが告げていることは真実だろう。姉のカミーラは嘘を付く必要のない生活をしてきた。そのため、真実を否定する場合は拒否以外にない。 「逆よ、ハルケン。何故、御父様はカミィ達に念の存在を教えないのかしら」 ハルケンブルグはカミーラがここに来た理由を理解する。カミーラは父であるナスビ=ホイコーロに疑心を抱いたからここにいるのだ。 「カミィの念はたまたま発現しただけ。カミィはハンターのヘイト=オードブルに言われて違和感を覚えたわ。彼は御父様に対して"念の心構えを教えてくれなかったのか"と言っていたけど、カミィ達は念の存在自体を知らされていない。おかしいとは思わない? 旅は道連れ世は情け。 - プロローグ - ハーメルン. この力は才能さえあれば子供でも使える。そして、念は扱うには多くの時間が必要とされるの」 「王族政治を批判している僕だけなら分かるが、カミーラ姉さんにもというのは確かに引っかかる。王子の中で念を使えるのはカミーラ姉さん以外にいるのか?」 「以前、御父様の晩餐会でオーラを感じたのはベンジャミンくらいかしらね。チョウライからは何も感じなかったし使えないと思うわ。御父様はベンジャミンに王を継がせる気かもしれないわね」 軍を支配するベンジャミンが王になる。それはハルケンブルグが今までしてきたすべての行動が無意味になるということ。 「まさか、僕達には王を継承する権利すらないということか! ?」 「可能性は高いと思うわ、そこでお願いよ。あなたの外の支援者達にカミィとヘイト=オードブルの恋仲の噂を流してほしいの。念を扱うハンターとの噂が広まれば御父様にも何かしらの変化があると思うの」 「何もできない僕からすれば有難い話だ。でも、そんな噂が広まったらカミーラ姉さんに迷惑が掛かりそうだけどいいのかい?」 「カミィの王配が何人いようが気にしないわ。御父様だってそうなのだから」 ――なるほど、カミーラ姉さんにも気になる男ができたのか。 家族であるカミーラがハルケンブルグをよく知るように、ハルケンブルグもカミーラの性格は知っている。 「僕も 権利 ( チャンス) があるなら王の席を譲る気はない。だけど、いまは家族として協力させてもらうよ」 恋の噂ひとつないカミーラが男を認めるのは初めてかもしれない。ならば、弟としてできることをしてあげるべきだろう。 ☆★☆★☆ ハンター協会会議室。ミザイストムの要請により集められた十二支んは空席が埋まるのをただ黙って待つ。 ここに前会長アイザック=ネテロの姿はない。会長不在での初めての十二支ん会議である。 「やあー、お待たせ!!

June 2, 2024, 9:31 pm